名古屋市立大学認知行動療法研究会(精神療法グループ)
精神疾患に対する治療法は、大きく分けて薬物療法と精神療法の2つがあります。精神療法には様々なものがありますが、現在、幅広い精神疾患に対して有効性が十分に示され、世界でスタンダードとなっているのが認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)です。CBTは、患者さんが自分で自分を治療できるようになるために、治療者とチームを組み、認知面・行動面の様々なスキルを身に着けて実践していく精神療法です。
また、CBT以外にも有効性の示された精神療法(対人関係療法、EMDRなど)や、第3世代CBTも普及しつつあります。 私たちは、CBTなどの精神療法の臨床、教育、研究の3方面を結びつけながら皆で高めあっていく場として、毎月第1・3火曜18時より研究会を開催しています。
前半:臨床タイム(臨床の進捗報告、症例検討、学会・講習会報告、講義など)
後半:研究タイム(大学院生・スタッフの研究ミーティング)
臨床活動
名市大CBT研究会では、2001年からCBTを臨床に取り入れ、その後も幅広い疾患をカバーして多くの患者さんの治療を行っています。
パニック症は250人以上、社交不安症は150人以上、他も数十人以上の治療実績があります。最近ではACT、対人関係療法の実施が増えてきています。
- パニック症のグループ認知行動療法
- PTSDに対する持続エクスポージャー療法
- 慢性疼痛の認知行動療法
- 難治性パニック症のACT
- 慢性めまいのグループACT
- 慢性疼痛のACT
- 慢性耳鳴のACT
- 初期研修医のバーンアウト改善・予防目的のグループACT
- 気分障害、摂食障害、不安障害、PTSDに対する対人関係療法
教育・普及活動
CBT治療者の育成のため、CBTの治療そのものの見学や、スーパービジョン(同席・録音による指導)による実践的な臨床教育を行っています。研修会の開催などの活動では以下のものがあります。
- 日本認知療法・認知行動療法学会での研修会:社交不安症、パニック症、不眠症
- 厚生労働省 認知行動療法研修事業 研修会:うつ病
また臨床での成果を治療のためのマニュアルとして発表しています。
- 不安障害の認知行動療法〈1〉パニック障害と広場恐怖(星和書店)
- 不安障害の認知行動療法〈2〉社会恐怖(星和書店)
- 不安障害の認知行動療法〈3〉強迫性障害とPTSD(星和書店)
- 慢性うつ病の精神療法―CBASPの理論と技法(医学書院)
- Beck & Beckの認知行動療法ライブセッション(医学書院)
- 自分でできる「不眠」克服ワークブック :短期睡眠行動療法自習帳(創元社)
研究活動
2019年4月現在、認知行動療法や心理教育に関する次の研究を実施・計画しています。
- パニック症のグループ認知行動療法:前向きコホート研究
- 慢性疼痛の認知行動療法:パイロット研究
- 慢性めまいのグループACT:前向きコホート研究、無作為化比較試験(RCT)
- 慢性疼痛のACT:前向きコホート研究
- 慢性耳鳴のACT:パイロット研究
- 初期研修医のバーンアウト改善・予防目的のグループACT:パイロット研究
- 気分障害、摂食障害、不安障害、PTSDに対する対人関係療法:前向きコホート研究
また、今までに以下の主な研究を行い、結果を発表しました。
- うつ病不眠の短期睡眠行動療法:無作為化比較試験(RCT)
- 高機能広汎性発達障害児の母親心理教育:無作為化比較試験(RCT)
- 薬物療法抵抗性うつ病に対するスマートフォン認知行動療法と抗うつ薬併用療法の無作為化比較試験(RCT)
- 社交不安症のグループ認知行動療法:前向きコホート研究
- 慢性めまいのグループ認知行動療法:前向きコホート研究
日本語論文は言うまでもなく、英語原著論文も多数発表しています。詳細はこちらです。
学会活動は以下のものがあります。
- 2010年、日本認知療法学会を主催。
- 海外学会発表:世界行動認知療法学会、アメリカ行動認知療法学会、ヨーロッパ行動認知療法学会、世界精神医学会、アメリカ精神学会、世界睡眠学会など。
- 国内学会発表:日本認知療法学会、日本精神神経学会、日本うつ病学会、日本不安障害学会、日本心身医学会など。